包括的な自己解釈
不愉快なエロゲーというもの
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エロゲーとしてのメタ解釈の上にエロゲーとしての視点を除いた解釈。
結局、Type-Moonは、Fateを単純な“燃えゲー”にしたくなかったんだと思います。Fateは、戦闘シーンが高く評価され、それ故に「燃える」ことに対する好感が集まったわけですが、何というかな?……実力だけで罷り通る世界、理想だけで渡っていける世界、そんなのをType-Moonは作りたくなかったのでしょう。
9791さんの「Fate/hollow ataraxia」の感想のこの部分は私も作品を通して感じていました。
燃えという要素。戦闘シーンそのものに激しく高揚する、ということ。だがその実Fateにおける燃えとは、戦闘シーンの熱さから一気に冷却する高波から小波へと一息で変貌するその変調のことを指すのだと思われます。改めて振り返ったとき、その変化の激しさから熱さを感じる。
でもやっぱりそれは感情の変化であって、作品のテーマそのものではないんですよね。楽しみでは有りますが。その部分だけが言いたいものではないのだよ、褒められる部分を殺してもついてこれるか? というのがこの作品に横たわっているような気がしてならないのです。
小説として読む場合はそれほどダメージを感じませんが、主人公に投影する読み方をする場合は恐らくプレイヤー殺しと解釈できる人もいるでしょう。
Fate/stay nightにおけるHFルート、Fate/hollow ataraxia本編では燃え、キャラ萌えというウリとなるはずのものを比較的抑え、自分の描きたいものをこれでもかと見せ、まして前作で描いた理想や美しさを捨てる。捨てる、というよりも同じ人間の、違う人間性を見せることによる対比に近い。だからそれはもうプレイヤー殺しと言ってもいいでしょう。何故なら、その対比によって、プレイしているプレイヤーは否応無く自己の汚さと間違いを見せ付けられる。希望は間違いだった、理想は間違いだった、と。その主人公の絶望にプレイヤーは激しく不愉快さを感じることもあるでしょう。けれどそのように感じ取ることもできる作品を創り上げた作者の潔さに、私は惚れる。
私が言ひたいことは、かういふことです。不愉快であるのは、作者が考へ抜いた末の結論であつて、不愉快であることを目的に書いてゐるわけではない。優れた作品は、作者の思想を誠実に記すがために、かへつて不愉快になつてしまつてゐるだけでなのです。
不愉快なテクスト 第一回 不愉快であればよいのかではこのようなことを述べられていますが、それはこの作品にも言える事でしょう。Type-Moonは作品に対して誠実に接し、育てることを確かに行っているからこそ、その思想が顕著に出ることによって、プレイヤーに不愉快さを感じさせる結果となっているに過ぎないのだと思います。それは作品そのものに接して私が感じることでもある。
前作のFate/stay night内Fate、UBWルートから一転して、生き方を対比させたHFルートにエロゲーとしての不愉快さを感じた方もいることでしょう。何故、娯楽を求めてきたのにこんな不愉快なものを感じなければならないのか、どうして自己を否定しなければいけないの? と。もしかすると作者は、その感想を見て内心成功したと思っているかもしれない。
Fate/stay nightにおけるHFルート、Fate/hollow ataraxia本編の構造がエロゲー否定、幻想否定を示しているものと解釈できますが、私は少し違うと思う。自己否定の中に自己を見つめ、更に内奥を探せ。その暗闇の中にこそ光はあると──抽象的な表現しかできませんが、その虚無と思われるものにこそ価値を見出そうという勇気があるものこそ本物を掴み取れるのではないか。それを私は感じ取りました。
大きな自己否定と自己認識、業の認識と少しだけの希望。Type-Moonの作品はその殆どが自己に焦点をあてていると言ってもいいでしょう。テーマ性でプレイヤーの自己を解体し殺してしまう。これに慣れているか理解しているか耐えられるかがなければ、多分作品の奥深くまで潜り込んで解体する作業はできないのかもしれません。何故ならこの作品を認識し解体する為には、自己を見つめる作業が必要だから。
だから、これはもう文学なんですよね。文学は常に不愉快になるもの。文学は現実という絶望があって、少しだけの希望を抱きながらも、やはり残酷な現実という絶望へと回帰する。ご都合主義なんてドブに捨ててしまえ。私はそんな希望と絶望という矛盾のあるものを包含した作品がやっぱり大好物なのです。
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