デスノートの心理描写
大分以前に、デスノートについてメッセでとある人と議論していたのだが、いろいろと興味深い考察ができたので以下に纏めてみる。
まず、私個人はライトが嫌いという前提で以下を読んで頂きたい。
何故嫌いか、という部分を議論している理由として挙げられたのがいくつか。
ライトというキャラの描かれ方に人間臭さを感じない。冒頭の導入部分も殺人に対しての苦悩や苦しみをもっと描くべきだったと思う。彼の思考回路がどうしても理解できない。自分は神になるという動機についても彼自身にはいろいろと考えてあってしかるべきだろう。その描写を省いては、それ以降の殺人(破滅)へと向かう彼の思考など想像できようもなくなってしまうのではないか。現実として、私はできない。
そして、最初に述べたように、彼の心理描写を省いてるところから、個人の倫理的観念から否定感情すら湧くようになってしまう。もし、最初にライトの変化や殺人へと走る苦悩が描かれていれば、読者もライトに共感しない人はいても理解することは出来るだろう。
漫画という手法を採用、それも少年漫画という丹念な心理描写を必要としない雑誌であったため、心理描写が不自然に抜かれてしまっている。漫画を描いたことも小説を書いたこともあるので分かるのだが、小説では心理描写によってその綿密な変化を描写することが出来るが、漫画では結果や結論が強調して描かれコマ割りの制限からセリフも削られる。ゆえにそういう不自然さは、もとはこの漫画は小説を想定して作成されたものだったのではないか、とすら思える。
個人感情として言うと、ライトの思考は不気味であると感じる。単純な善悪の二元的な価値基準でしか判断しないことでライトが単純で平板な人間としか描かれておらず希薄、殺人へと走る動機(狂気)の描写が漫画として巧いとはいえない。だが、それを描かない漫画なのだ、といわれればそれまでではある。
以上が話した点をまとめたもの。
デスノートの緻密な状況設定や次々と明かされていく謎とからくりには舌を巻く。だが心理描写にもっと力を入れてくれればもっと良い作品となったのではないかと思うと残念でならない。
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