書きあぐねている人のための小説入門
小説入門、とありますが、読んでみたらあら、創作全般に関してもあてはまることばかり。例えばイラストでも、漫画でも、創作に携わる事にあてはめても読めます。なので、創作に携わってる方々、是非読んでみてください。一番に読んでもらいたいのは、書きあぐねている方、というよりも、自分の創作というものに悩んでる方。自分は何故創作するんだろう、とか、自分の創作に自信がない、とか、自分の創作は果たしてこのまま突き進んでもいいのだろうか、という悩みを持ってる方。そしてやっぱり小説入門というくらいだから、小説を今現在書いていて、自分の中の壁というか岐路に立ち止まって壁があるのではないかという人に読んでもらいたい。
本としていくら完成されていても、そんなのは「閉じられている」だけで、小説家が実際に生まれなければ「小説の書き方の本」にはならない。つまり、小説家が生まれる事ではじめてこの本は完成される。だからこの本は、読んでいるあいだに、読者がいままで考えた事がなかった(見えていなかった)新しい題材を発見して、書きたくなるように書いてある。この本は完成する。と、私は今のうちから断言しておきたい。小説を書こうと思っている人たちの本当の気持ちが、変な風に押さえ込まれているのが現状だからだ。
既成の小説の書き方の本や創作講座の講師は、テクニックや形式の事ばかり教えてしまうが、それを通じて「既成の小説」という最悪の枠を小説家志望者に押し付けつける結果になる事に気がついていない。その著者や講師のほとんど全員は実作者ではないし、実作者であったとしても優れた実作者ではない。編集者を名伯楽といったりするように、創作の指導者は競馬に例えれば調教師であって、育てることと走ることは違うんだというかもしれないが、馬が馬に走り方を教えることが出来ればもっとずっと早く走るようになるだろう。少なくとも、小説家でない人の意見を聞いて伸びる人と、聞いたために伸びそこなっていた人の二種類がいることだけは間違いない。私は後者のために書いた。実作者が自分のライバルを増やすような真似をするだろうか──という下衆の勘繰りをする人がいるかもしれないが、小説家は素晴らしい小説を読むことが歓びであり、素晴らしい小説を書く人が一人でも増える事を、いつも望んでいるという事をいまここで記憶してほしい。
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