快描教室

快描教室は以前から購入して幾度となく読み返してる本なのだけれども、これを数ヵ月後と期間を置いて改めて見返してみると面白い。漫画についての描き方、強いては漫画絵の描き方のレクチャーもあるのだけれども、この説明のしかたが、他の本の説明と何かが違う。説明、レクチャーとなると、ここをこう描いて云々などの細部をどう描くかの説明になりがちなのですがこれは概念、認識、意識から改善構築していこうという試みの本です。もちろんとても面白いものもある。一部引用。

──美少女系漫画を描く人の女の子が上手なのは、やっぱしスケベ心が?

「うん、スケベ心の差だと思うなー(笑)。たとえばチチのラインがほんのちょっと下にずれただけでも "ああ、違う! これはオレの求めていたチチとちゃうんや! もっとふっくらして柔らかくて!" なんて思うだろから(笑)」

──女の子が男の子を描くときはこの逆?

「うん。"ああ、違う! これはアタシの求めていた筋肉とちゃうんや! もっとムキッと"って思ったほうがいい」

絵をひとつ描くにしてもこだわりというものがどうしても出てしまうらしいけれども、この説明は心にストンとくるものがありました。ああ、わかるなーみたいな。もうひとつあります。

「たまに見るんだけど、腰が妙に細くて、脚がくっつき過ぎた絵ってあるでしょ?」

──あ、ありますね。この人跳び箱の開脚飛びができなさそう…っていう絵ですね。

「コレは性器の存在を忘れた絵なんですよ。性器っていうカタマリが股間に入れば、自然と脚が開く。デフォルメするときに股間を描くって難しいんだけど、性器の存在を忘れなければうまく行くと思います」

──デフォルメは省略するっていうコトだけど、性器の存在を省略してはイカンと。

「うん。性器っていうカタマリは大事だよー。腰から脚のラインがうまく描けないって人は、性器の存在を意識して描きましょう」

股間というのは人間の肉体のほぼ中心なため、ここを疎かにするとバランスの悪い絵、どうにも落ち着かない絵になるということでしょう。この辺りが漫画絵を描くにあたってなかなか気付けない部分であるような気がします。何事も腰が大事だということですね。

こういう時に発生するのが、ここでいうスケベ心であり萌えだろうと思います。萌え、というといろいろ解釈もあり起源もどこから来たのかすら定かではありませんが、ここで言う萌えとは美しいという陶酔感のものを指していると考えてください。スケベ心美しいという感情を一緒くたにするのは違うものかもしれませんが、感情を律する部分は恐らく原型となる同じ部分から発生するのでしょう。それぞれの感情は人によってまちまちではありますが、自分は萌えも美しいも陶酔も起源を共にする感情だと考えています。

創作というのは言ってしまえば得てしてそういうもので、それを公表、発表するということはその感情をあわよくば共有しようという意図なのかもしれないな、と。

この本の醍醐味は拘るところは拘って、省略する部分の境界を見極めろな目標で見ていくとより面白くなります。漫画絵を描くことに悩んでいる人には必携の書です。

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