小中学生の学習意欲の動機

一般的に学習意欲というものは純粋な知的好奇心をもち、自らが率先して行動をすることを善しとしている。だがそれを実際に実践するのは大変に難しい。 まず学習意欲の傾向としてどのように分類できるだろうか。

マスタリー傾向
学習や理解を通じても能力を高めようとする
遂行志向
他者に対して相対的に優位になることで能力の高さを誇示する。

遂行志向を分類すると、遂行接近志向有能さを誇示しポジティブな評価を得ようとする遂行回避志向無能さが明らかになるのを避け、ネガティブな評価を回避するに分類される。

それぞれの分類された志向は以下の側面に要約される。

この実験では小中学生を対象に、それぞれの動機がどのように学習結果に影響がされているのかを目的とされている。

小学生は中学生よりも、遂行回避志向であるときの影響が大きく、遂行接近志向が学習成績に正の影響があった。それに比べて、中学生となると遂行接近志向ではなくマスタリー傾向に、より有意な結果となっていた。

この結果から考えるに、小学生にとって学習とは自分の有能さを他人に承認されるという動機に基付くものが多いと考えられ、純粋な知的好奇心そのものよりも周りの評価の如何によって学習意欲を動機つけていると推測される。

中学生になると失敗恐怖や遂行回避志向が強く学習成績に表れる結果となっており、ここから、発達に伴い他人からの評価により敏感になることなどが原因として考えられる。

マスタリー傾向が結果として必ずしも良い学習結果を齎すものではないとはいえ、成績に即時効果のある遂行接近志向に高い親和性のある日常を送ると、失敗恐怖と成功願望が両極端に強くなるのではないか。小学生から中学生に成長するにつれ、それに敏感になっている結果から考えられる。

しかし、遂行志向は、学習成績と学習への内発的興味を高める影響もある。自分の能力に確信がもてないため、常に不安を経験しながら少しずつ成功するという下積みをすることで、自己価値を再確認しようとする。それを以って学習をより自分のものにしようとするのではないか。

遂行志向が必ずしも負の結果しか齎さないというわけではないのだ。

引用文献
田中あゆみ・山内弘継 2000 「教室における達成動機、目標志向、内発的興味、学業成績の因果モデルの検討」 心理学研究71 317-324

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